ラブコメに似てるあれ


これからの科学技術研究において情報科学・計算機科学やソフトウェアの面
が重要であることは認識されつつあると思うが,「ソフト」と「ハード」の2分法
で考えるのではなく,それらを支え,個別科学と結びつけるような
「方法論の科学」「モデリングの科学」にも注目してほしい.



具体的には,統計科学,機械学習,計算科学,非線形科学,広い意味での
数理科学などの分野横断的な領域である.これらは,実世界のデータを
モデルを通じて個別科学と結びつけるものであり,今後のわが国の科学
技術振興において鍵となる分野であると考える.



たとえば,次世代スパコンについても,まずハードウェアありきという発想
ではなく,まず「計算機を使った科学」「実世界データを数理モデルに結び
つける方法の研究」を分野横断的に行う「計算科学研究所」があって,
世界最速レベルのハードウェアを「依り代」として世界の若手研究者が
そこに集う,という姿が本来望ましいように思う.



数理科学の振興策についても,いわゆる応用数学のレベルにとどまらず,
より広い視野から「方法論の科学」「モデリングの科学」の育成という視点
が必要だと考える.



こうした関連領域をばらばらに考えるのではなく,一体的に理解することで,
わが国の科学技術政策の弱点を補強し,あらたな展開が期待できるの
ではないだろうか.